デフレの勝者たち 2012 3 24

 私は、2012年2月5日に、
「テレビ敗戦、新たな出発」という文章を書きました。
このなかで、日本の電機メーカーは、軒並み巨額の赤字を計上し、
2011年は、「テレビ敗戦の年」として記憶されると書きました。
 これに対して、興味深い記事が、
2012年3月23日の朝日新聞にありました。
トヨタ社長、「電機の苦境、流通構造が原因」
 トヨタ自動車の豊田社長は、
薄型テレビの大幅な価格下落で不振にあえぐ、
電機メーカーの現状に触れ、
安売りを招いた流通構造に苦境の原因があるとの見方を示した。
 「流通業は潤い、メーカーは苦労した」と、
価格決定権を量販店に握られた家電流通の構造を指摘した。
(以上、引用)
 確かに、店頭の薄型テレビは、ほとんどが日本製で、
外国製品は、あまり見かけません。
 安売り合戦の結果、外国製品に負けたのではなく、
日本製品は、同じ日本製品に負けたということかもしれません。
 私は、将来を案じて、
2006年12月28日に、「冬の亡者たち」という文章を書きました。
あれから5年以上経過しましたが、結果は、どうなったのか。
 デフレに最終勝者はなく、結局、全員が負ける。

冬の亡者たち 2006 12 28

(A)人件費を削減すれば、
さらに利益が上がるという味を覚えてしまった経営者。

(B)もう少し待っていれば、
さらに値段が下がるという「デフレの味」を覚えてしまった消費者。

(A)は「金の亡者」、(B)は「デフレの亡者」と言えます。

こうした悪習をやめさせるには、政府が音頭を取る必要があります。

テレビ敗戦、新たな出発 2012 2 5

書名 電機・最終戦争 生き残りへの選択
著者 日本経済新聞社 編集  日本経済新聞出版社

 2011年は、「テレビ敗戦の年」として記憶されるという。
確かに、日本の電機メーカーは、軒並み巨額の赤字を計上しました。
その原因は、テレビにあります。
「作っても作っても赤字」というのが、テレビ事業だったかもしれません。
 このような状況を見て、野口悠紀雄氏は、
「週刊東洋経済2012.1.21」で、このように評論します。
 パナソニックもシャープも、韓国のサムスンを意識していた。
しかし、サムスンは、量的に拡大しているだけだ。
実際、テレビ事業は、赤字である。
 日本のメーカーは、サムスンに負けたのではない。
EMS企業(電子機器の受託生産企業)に負けたのだ。
 重要なのは、液晶テレビの生産モデルが、
巨大EMSの成長で本質的に変わったことである。
 それにもかかわらず、垂直統合モデルを維持し、
量でサムスンと競ったことが、基本的な誤りである。
 サムスン電子の液晶パネル部門は、
ウォン安にもかかわらず、利益が出ていないと指摘しています。
 さて、今、全盛を極めているアップルも、
負けた時代があったのです。
アップルは、パソコンメーカーとして成功していた時代があるのです。
 しかし、ウィンドウズ95の登場で情勢が変わったのです。
アップルは、パソコンの大衆化に乗り遅れてしまったのです。
同時に、これは、マイクロソフト・インテル帝国の船出を意味していました。
しかし、この帝国にも、スマートフォンの出現で、陰りが見えています。
 私は、こう言いましょう。
負けることは、いいことだ。
新たな出発ができるからだ。
勝ち続けていれば、今のやり方を変えることができない。
 しかし、時代は、変わっていく。
そして、消費者も、いつの間にか変わっていく。
 かつて、地球では、恐竜全盛の時代がありました。
温暖な気候と豊富な食糧によって、
恐竜は、どんどん体を巨大化させ、地上の王者となりました。
 しかし、地球が寒冷化していくと、食糧が不足し、
恐竜は、地上から姿を消していったのです。
 恐竜に「地球が寒冷化したから、変わりなさい」と言っても、
それは、無理な話だったでしょう。
 しかし、企業は変わることができるのです。
環境の変化に応じて、企業は、変わることができるはずです。












































































































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